【小説】第一話 ドラ骨スープ【喫茶リリの日常】
ここは、オーガ族の王が統治した国グレン王国
国民の半数以上はオーガ族で占められているが、様々な種族が存在し
そして、旅人や冒険者たちの拠点となっている国となっている。
町並みは、岩をくりぬいたような武骨な感じの町並みではあるが
はずれの住宅街はそれはそれは様々な家や建築物が立ち並んでいるの。
その一角に、ひっそりと経営されているある喫茶店があった。
この物語は、その喫茶店の日常を描いた物語である・・・・。
私の名前はリリ、ヴェディ族の女子よ。
本当は違うし、この姿は仮の姿ではあるのだが、まぁそれは別の話ということで今は置いておこう。
普段の私は冒険者でいろんな世界を廻っているのだけど、土の週のみお店を開いている。
その名も<喫茶リリ>。
私が言うのもなんだけど、結構評判でお客の入りも多いのだ。
夜になると、様々な人がやってきて料理に舌をつづみ情報交換などの歓談が繰り広げられる。
私は、料理をしたり運んだりてんやわんやだ。
たまに、お客さんの中からお手伝いしてくれる人もいる。本当に、大助かり。
さて、今回の話はお昼の話。
実は、お昼も仕込みとか料理の研究とかで開いていることもある。
何処からかぎつけたのか、常連客が来ることもしばしあるのだ。
今回はそんなお話である。
太陽が真上に来ている時間。私は喫茶店で準備をしていた。
「姉様、ここに置いておきますわ。」
「ありがとう、ルル。いつもすまないねぇ。」
彼女の名前はルル、オーガ族の娘で私のこと姉様と慕ってくれている。
別に姉妹ではないのだがちょっと昔に縁があってそうなってしまった。その話はまた別の機会にしよう。
ルルは、大きな袋を抱えてそれを台所の倉庫に置いた。
「いえ、これぐらい大丈夫です。しかし姉様、これ本当に調理するのですか?」
ルルは不思議そうな顔をしていた。
「そうよ、だって面白そうでしょ。」
私は、いたずらっぽい顔をしながらそう答える。
「でもこれ、ドラキーですよ。食べられますの?」
「大丈夫よ、魔物といえどもその肉は健在。ちゃんと調理をすれば美味しくいただくことは出来るわ。」
「そうですか、姉様の言う事ですから大丈夫とは思いますが。う~ん。」
その顔は信じてないようね。
「まぁ、姉様に任せなさい。」
いまだに信じられないルルは放っておいて私はドラキーの下ごしらえをすることにした。
そのとき、再びドアが開いて。
「お姉、これもここに置いておくね。」
「ありがとうララ。それ保冷庫の中に入れておいて。」
彼女の名前はララ。エルフ族の娘だ。
彼女とも昔いろいろあって、そこも今回は割愛しておく。
「しっかし、なにこれ。見たこともないものばかりなんだけど。」
保冷庫の中に袋の中身を入れていくララが質問してきて。
「それはね、珍しい飲み物なの。」
「これが?」
<カル〇ス>と書かれた白い液体が入った容器を見ながらララが不思議そうに見ていた。
「お姉に頼まれてこれを取りに行ったけど。あのおじさん、何者なの?」
「それはね、ヒ・ミ・ツ。」
不思議そうなララの問いに私はシーっとポーズをとった。
さぁて、今日はどうしてみようかな。
新作料理を考えているとき、再びお店の扉が開いた。
「こんにちわ、リリさんいますか?」
「はーい、いますよぉ。」」
入口のほうから一人の人間族の女性が現れた。
「あら、ジライヤさんじゃないですか。いらっしゃい。」
ジライヤさんは地雷屋本舗という酒場の店主で私とはお店の経営仲間。
彼女のお店は薄暗い中でもすごく心地がいいお店だ。
私もついつい長居してしまいたくなる。
そんな、ジライヤさんがカウンターの席に座ってきた。
「今日はどうしたんですか?」
私がそう尋ねると、ジライヤさんは頬づえをつきながら
「今度の集会についての相談。あとはちょっとお腹がすいたからなにか頼める?」
と答えた。
どうやら、お昼はまだだったようだ。
「私の店のシステムはわかりますよね?何が出ても文句は言わないでよ。」
そう、私の店にはメニューはない。すべては私の気まぐれ料理しか出さないのだ。
しかし、そんな料理が好評でリピート客が多い。
「ふふ、覚悟しておくわ。」
笑顔で答えてくれる彼女の期待に応えるために、私は調理場に立った。
さて、今回取り出したるは先ほど届いたドラキーを使っていく。
まずは、ドラキーをしっかり洗って管を刺し血抜きをしていった。
これがあるのとないのとでは、肉の臭みが全然違うからだ。
次に、触覚、羽、足を切り落とし目玉をえぐっていく。
食べられないわけじゃないんだけど、まだ実験してないからまた今度。今回は肉と骨だけを使うことにした。
包丁を入れ込んで、しっかりと皮を剥いでいった後は肉をそぎ落として肉と骨に分けていく。
軽めに骨と肉を洗い、まずは骨をお鍋の中の水に入れ込みじっくり煮込んでいく。
その間、お肉を一口サイズに切り分け、フライパンで焼いた。
焼き加減はミディアムぐらいだ。
次に、しゃっきりレタス・ジャンボ玉ネギ・まんまるポテトを一口サイズに切っていき鍋の中に突っ込む。
程よく煮込んだ後は、エルトナ酒を入れて塩・胡椒を入れていく。
煮込むこと20分。その間に私はジライヤさんに飲み物を出した。
「あら、美味しい。これ何かしら」
不思議な味に驚いているジライヤさんに対して私は
「それはね、カ〇ピスと言って牛のお乳を使った異国の飲み物だよ。」
と答えた。
「へぇ、アストルティアにも六大陸にある国のほかにも他国があったんだ。」
「ん~、ちょっと違うんだけど。なんというか異国というか、異星というか・・・。」
ちょっと失言をしてしまった私は小声になっていき。
「え?いせい・・?」
あぁ、やっぱり聞かれてた。
「ううん、なんでもない。でも、美味しいでしょう。」
私は慌ててごまかした。
「えぇ、本当に美味しいわ。これメニューに加えるのかな?」
「もちろん、安定した供給もできたことだから加えるよ」
「それはよかったわ。また頼みたいもの。」
どうやら、気に入ってもらえたよう。
これなら、他のお客さんにも気に入ってくれると思う。
「じゃあ、今回のメインデッシュ持ってくるね。」
「本当、何が来るのかしら。楽しみだわ。」
そして、私は調理場に戻っていった。
さて、コトコトと煮込んだスープの中に先ほど焼いたお肉を入れていく。
そして、さらに煮込んでいって10分後。
私は、そのスープを皿に入れてジライヤさんの前に持って行った。
「お待たせ―、今日のランチはドラキーのスープ。名付けて・・・。」
「ドラ骨スープです!」
「え?これドラキーなの?」
目の前に差し出されたスープを見て驚いているジライヤさん。
「まぁ、食べてみてよ。」
「え、あうん。いただきます。」
肉が入ったスープをスプーンに入れて一口。
「!!」
ジライヤさんの表情が変わっていた。
「どう?」
自信があったけどやっぱり他の人の反応はすごく気になる。
「どういうこと?これがドラキーなんて信じられない。」
ジライヤさんが驚いた顔をしてこっちを見てくる。
「でしょう、味見もしたんだ。結構おいしかったのよ。」
ここでやっと私は得意顔になっていく。
「お肉が柔らかいのに、鶏肉に近い感触。スープもあっさりとしているのに骨出汁がしっかりしてて飲みやすい。」
そういいながら、彼女はもう一口もう一口とスープを口の中にもっていった。
その反応を見ながら私はイケると思い。
「今晩、これで行ってみようかなぁと思ってるの。」
彼女に尋ねる。
「いいと思うよ。」
「じゃあ、決まりね。」
太鼓判をもらった私は、ノートを出して作り方と材料の情報を記入していく。
「ドラ骨スープレシピ帳に追加」
とこの料理の名前を正式に名付けると
「でも、その名前。ちょっとダサくないかな?」
とちょっと苦笑い。
「そう?」
そんなやり取りがあって、店の中は笑い声がこだましていった。
そして、お皿の中は空っぽになっていた。
「あ、そうそうそれで来週のことなんだけど・・・。」
私とジライヤさんはその日の夕方まで話し込んでしまったのであった。
あとがき
というわけで、喫茶リリの日常をちょっと表現してみたいなぁという思いで書いてみました。
素人小説だから読みにくさがありそうでちょいと怖いですがご容赦くださいませ。
次回は、まだわかりませんが気が向いたら2話目を書いてみたいと思います。
今回のゲスト:ジライヤさん
地雷屋本舗の店主のお姉さんだよ。
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